黒くて、なんだか苦そう。スタウトビールに、そんな印象はありませんか。じつはあの黒さ、麦を焼いた色なんです。焦げたトーストやコーヒーと、同じ理屈なんですよね。
しかも苦さの出かたは、タイプでかなり変わります。黒ビール=苦い、とは限らないんです。この記事では、スタウトビールの正体と種類のちがいを整理します。初心者でも飲みやすい一杯の選び方も紹介しますね。読み終わるころには、黒いビールの棚がちょっと楽しく見えてくるはずですよ。
この記事でわかること
- スタウトビールとはどんなビールか、一文でつかめる
- 黒さと香ばしさの正体が、麦の焼き加減だとわかる
- ドライ・ミルク・インペリアルなど、種類のちがいがわかる
- ポーターとの境目が、なぜあいまいなのかがわかる
- 苦いのが苦手な人が、最初に選ぶといい一杯がわかる
まずは、みんながつまずくポイントから見ていきましょう。
よくある疑問・悩み
ビアバーの黒板に並ぶ、黒いビールの名前。頼むのに、ちょっと勇気がいりますよね。「重そう」「苦そう」「食事に合わなそう」。じつはこの3つが、スタウトビールでいちばん多い誤解なんです。
ほかにも、引っかかりはいろいろ。ポーターとの違いがわからない。ABV(=アルコール度数)が高そうで、身構えてしまう。黒ビールとスタウトは同じなのか、という疑問もありますよね。どれも、知らないだけで選択肢を狭めてしまう話なんです。
じつは私も、最初は同じでした。黒いビールは上級者のもの。そう思って、ずっと避けていたんですよね。でも一度きっかけをつかむと、印象はがらっと変わります。
つづいて、この知識を知ると何が変わるのかを見てみます。
なぜスタウトを知ると得なのか
スタウトを知ると、ビール選びの引き出しが一気に増えます。なぜなら、味の幅がとても広いスタイルだからです。軽やかなタイプから、デザートみたいな濃厚タイプまで。つまり、その日の気分で選べるようになるんですよね。
たとえば、冷えこんだ夜。キンキンのピルスナーより、香ばしい一杯のほうがしっくりきます。チョコレートやナッツとも相性がいい。だから「食後の一杯」という楽しみ方もできるんです。
知らないままだと、この棚を丸ごとスルーすることになります。もったいないですよね。では、そもそもスタウトとは何なのか。いちばん大きな違いから見ていきましょう。
スタウトビールとは?いちばん大きな違いは「焙煎」

一文でいうと「焙煎した麦の香ばしさを楽しむ黒いエール」
スタウトビールとは、焙煎した麦の香ばしさを楽しむ、黒いエールのこと。エール(=上面発酵でつくる香り豊かなタイプ)の仲間なんですね。まずは、この一文だけ覚えれば十分ですよ。
ちなみに日本には、表示のルールもあります。「ビールの表示に関する公正競争規約」ですね。濃色の麦芽を原料の一部に使い、色が濃く、香味がとくに強いもの。この条件を満たさないと、スタウトとは表示できません。つまり「なんとなく黒い」だけではダメなんです。
黒さの正体は、じつは「麦の焼き加減」
色をつけているのは、色素でも着色料でもありません。モルト(=ビールのベースになる麦芽)や大麦を、深く焙煎しているからなんです。コーヒー豆を思い浮かべてください。浅煎りは明るい茶色、深煎りは黒に近づきますよね。ビールもまったく同じ。焼き込むほど色が濃くなり、香ばしさが立ってきます。
これ、けっこう驚きですよね。だから黒い=濃い味とは限りません。焙煎した麦は少量でも、しっかり色がつくからです。実際、見た目ほど軽やかな一杯もあります。
苦味には「2種類」ある
スタウトの苦味は、ひとつではありません。ひとつは、ホップ(=香りと苦味をつける植物)由来の苦味。もうひとつが、焙煎由来のほろ苦さです。コーヒーやビターチョコを思わせる、香ばしい苦味ですね。
ちなみにIBU(=苦味の強さを表す数値)が測るのは、ホップ側だけ。つまり数字が低くても、香ばしく苦く感じることがあるんです。数値だけでは味は読めない、というわけですね。
泡がクリーミーになる理由
スタウトといえば、きめ細かい泡。あのなめらかさは、注ぎ方で生まれることがあります。窒素ガスを使う「ナイトロ」という方式ですね。炭酸のシュワシュワが穏やかになり、口当たりがとろりとします。もちろん、通常の炭酸だけのタイプも多いですよ。
ポーターとの境目は、じつはあいまい

よく聞かれるのが、ポーターとの違い。じつは、はっきりした線引きはありません。もともとスタウトは「stout porter」、つまりどっしりしたポーターという呼び方から生まれたと言われています。stoutは英語で「頑丈な、強い」という意味ですね。
18世紀後半のアイルランドで、麦芽化していない大麦を焙煎して使ったのが始まりとされます。これが独特のドライな苦味を生みました。とはいえ現在は、呼び分けが銘柄ごとにゆるやか。どちらも焙煎系の黒いエール、と考えておけば大丈夫ですよ。細かい違いは、飲み比べて感じるほうが早いんです。
スタウトは、焙煎した麦の香ばしさが主役の黒いエール。黒さは着色ではなく、麦の焼き加減。苦味はホップと焙煎の二層構造です。
つづいて、種類ごとのちがいを見ていきましょう。
スタウトビールの種類をくらべてみる

ひとくちにスタウトといっても、中身はかなり違います。飲みやすさの差は、ここで決まるんですよね。代表的な5タイプを並べてみました。
| タイプ | 味の方向 | 度数の目安 | こんな日に |
|---|---|---|---|
| ドライスタウト | 香ばしく、後味すっきり | 4〜5%前後 | ごくっと飲みたい日 |
| ミルクスタウト | 乳糖のまろやかな甘み | 4〜6%前後 | 甘いものと一緒に |
| オートミールスタウト | とろりとした口当たり | 5〜6%前後 | ゆっくり過ごす夜 |
| インペリアルスタウト | 濃厚でどっしり | 8〜12%前後 | 少量をじっくり |
| コーヒー・カカオ系 | 副原料の香りが前に出る | 銘柄により幅あり | デザート気分の日 |
度数はあくまで一般的な目安です。銘柄によって幅がありますから、ラベルの表示を確認してくださいね。
初心者にいちばんすすめやすいのが、ミルクスタウト。乳糖(=発酵で分解されにくい糖)を使うので、甘みが残ります。だから苦味がやわらぎ、口当たりもまろやか。デザート感覚で飲めるタイプなんですよ。
反対に、腰を据えて飲みたいならインペリアルスタウト。度数が高く、香りも濃厚です。ただし冷やしすぎると香りが閉じます。小さめのグラスで、少しずつどうぞ。
とはいえ、同じドライスタウトでも表情は銘柄ごとに変わります。つづいて、今日からできる楽しみ方をまとめます。
今日からできる、スタウトビールの楽しみ方3ステップ

ステップ1:最初の1本はミルクスタウトから
まず選ぶなら、甘みのあるタイプ。苦味がやわらぐので、ハードルがぐっと下がります。ラベルに「ミルク」「スイート」とあれば、その系統ですよ。
ステップ2:冷やしすぎない(目安は10〜13℃)
ここがいちばんの落とし穴。キンキンに冷やすと、香りが閉じます。目安は10〜13℃。冷蔵庫から出して、数分おいてみてください。それだけで香ばしさの立ち方が変わります。
じつは私も、最初はキンキンで失敗しました。香りがほとんど立たなかったんです。ところが少し置いて飲み直すと、印象がまるで違いました。焦げた砂糖のような甘い香りが、ふわっと立ちのぼってきたんですよね。あの一杯で、黒いビールが好きになりました。温度の話は、ビールの適温の記事(【要確認:リンク先/ビールの適温】)でもくわしく書いています。
ステップ3:おつまみをひとつ用意する
合わせるものがあると、印象が変わります。焙煎の香ばしさは、焼き色のある食べものと相性がいいんです。たとえば、こんな組み合わせ。
- ビターチョコ、ナッツ、ドライフルーツ
- タレの焼き鳥、煮込みハンバーグ
- バニラアイス(少し垂らすのもおすすめ)
最後に、よく届く質問をまとめておきますね。
よくある質問
Q. スタウトビールと黒ビールは同じですか?
A. 黒ビールは、色の濃いビール全体をさすざっくりした呼び方です。スタウトは、その中のひとつ。下面発酵でつくる黒いラガーもありますから、イコールではないんですよ。※公開時にSWELL FAQブロックへ差し替え
Q. 度数は高いのでしょうか?
A. タイプによります。ドライスタウトは4〜5%前後が一般的な目安です。一方インペリアルスタウトは、8%を超えるものも珍しくありません。ラベルを確認すると安心ですよ。※公開時にSWELL FAQブロックへ差し替え
Q. 苦いのが苦手でも飲めますか?
A. ミルクスタウトのような、甘みのあるタイプから試すのがおすすめ。冷やしすぎないことも効きます。温度が上がると、甘い香りのほうが立ちやすくなるんです。※公開時にSWELL FAQブロックへ差し替え
まとめ
スタウトビールとは、焙煎した麦の香ばしさを楽しむ黒いエール。黒さは着色ではなく、麦の焼き加減でした。苦味はホップと焙煎の二層構造です。だからタイプによって、飲みやすさが大きく変わります。
まずはミルクスタウトを、冷やしすぎずに。それだけで、印象はきっと変わりますよ。次に黒板で黒いビールを見つけたら、指さしてみてくださいね。
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